AKIHABARA

CULTURE

世界遺産登録30周年 国宝姫路城の魅力に迫る

シラサギが羽を広げたような優美な姿から白鷺城(しらさぎじょう)の愛称で親しまれる姫路城。そんな姫路城が日本で初めての世界文化遺産に登録されてから、今年で30年。毎年多くの観光客がこの地へ訪れる理由を紐解いてみよう。

姫路城は、1300年代からさまざまな有力者によって繰り返し増築改修が行なわれてきた。そしてついに1609年、大天守を完成させたのは、江戸城や名古屋城にも関わり、築城の名手とうたわれた武将、池田輝政。彼が姫路城の改修を始めてから、大天守の完成には8年を費やし、関わった作業員は2400万人とも言われる。その後、本多忠政によって西の丸が築かれ、今の姫路城の全容が整ったのは戦乱の世が落ち着いた1617年のこととされる。

当時の日本には、城が全国に170カ所ほどはあったという。その後、政府による廃城令、天災や戦災などで数多くの城が失われていった結果、江戸時代以前に建造された天守を有する城は、現在では12カ所となってしまった。その中でも姫路城は、天守や櫓、門など各所の保存状態が非常に良いことから、1993年には奈良の法隆寺とともに日本初のユネスコの世界文化遺産に登録された。

大手前通りからの景色。姫路城は小高い山(姫山)の上に建っている。

姫路城が人々を魅了する特徴は数多あるが、一番の特徴は、白鷺城と呼ばれる所以でもあるその白い壁だろう。これは、壁全体に白漆喰が塗られているためで、敵に火縄銃で攻め込まれても、延焼しないように塗られたのだとか 。 真っ白い外観と、山の上にそびえ立っていることも相まって、ただならぬ存在感を放っている姫路城。この白壁が最も映える、夜間のライトアップ演出も必見だ。

夜の美しい姫路城

そして姫路城といえば、もう一つ特徴的なのが、立派な天守だろう。 四つの天守が四角形を描くように配置されており、すべての天守が国宝に指定されている。一番大きな大天守は高さ31.5mあり、江戸時代から残る現存12天守のなかで最も大きいのがここ姫路城である。これほどの規模のものが、戦火や火災の被害にあうことなく現存しているのは、まさに奇跡だろう。

城郭としては日本で唯一の世界文化遺産

高さ約31.5mの天守閣は、山の上に立っていることもあり眺望抜群。市街を見下ろすことができる。

また、天守閣の屋根に使われる鯱瓦という装飾にもユニークな見どころがある。鯱瓦は、火を見ると口から水を吐くという言い伝えから、火災除けとして屋根に設置される。本来であれば口を開けたものと、閉じているものが一対になっているもの。しかし、姫路城は口を閉じた鯱瓦ばかりのとても珍しい城なのだ。 しかしながら、理由は単純で、昭和に城の大修理が行われた際に、口を閉じた鯱瓦を参考にすべてを同じ形に復元してしまったのだとか。

姫路城の鯱瓦。火災除けのまじないとして屋根に飾られている。

城見台公園にモニュメントとして置かれた巨大な鯱瓦は、大天守の鯱瓦を原寸大に復元したもの。

また、世界遺産登録30周年を記念して、2023年8月11日から9月24日までの期間は「姫路城夏の特別公開」と題して普段は公開していないエリア6棟の内部が特別公開される。なんと、6棟の同時公開は2009年以来14年ぶり。この特別公開の貴重な瞬間にぜひ立ち会おう。 ここで紹介した以外にも、姫路城には数えきれない魅力がある。外観ももちろん素晴らしいが、瓦や石垣の石ひとつとっても、当時のエピソードがあり歴史を感じることが出来る。日本といえば、神社や温泉などと並んで、お城もぜひ訪れてほしい観光地のひとつだ。

■姫路城DATA 住所:兵庫県姫路市本町68番地 開城時間:9:00~17:00(閉門16:00) 料金:大人1000円、小人(小・中・高校生)300円 公式HP:https://www.city.himeji.lg.jp/castle/ ▼フォトクレ 写真提供 姫路市 (2023年7月時点の情報です)